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【WJ】短編

第24章 【甘】初恋リスタート/二口堅治


「つーか、鎌先さんさっきから黙ってて気持ち悪いんですけど。」
「いや、その、なんだ!いい先輩だな!」


 てっきりさっきみたく怒るかと思ったら、怒らねえし、変にたどたどしい喋り方。いや、今のは冗談とかじゃなくてマジで気持ち悪い。


「鎌先さん?」
「はい!」
「よくウチ来てくれてますよね。」
「え、あ、はい!」


 柄にもなく頬を赤らめる鎌先さんを見て嫌でも分かった。さっき笹谷さんが言っていた鎌先さんのお気に入りで超可愛い子、それが逢崎さんの事だって。
 昔から可愛いかったし、誰とでも仲良くなれる親しみやすい性格で人気者だった。三年半ぶりに会った逢崎さんは綺麗になってたし、鎌先さんが惚れ込むのも無理はないのかもしんない。けど、三年半ぶりに再会出来たんだ。他の奴に渡してたまるかよ。


「逢崎さん。今日バイト何時までですか?」
「二十二時まで。」
「じゃあ俺待ってるんで、一緒に帰りましょうよ。」
「じゃあ俺も一緒に待つ!お前一人だと暗いし危ねええからな!」
「…暗いし危ないって、俺男なんすけど。鎌先さん筋肉で目、やられちゃいました?」
「でも鎌先君の言う通り高校生が一人そんな時間までいたら危ないよ?」
「久しぶりに会えたんだし、二人で懐かしい話でもしたいじゃないですか。まあ、誕生日プレゼントだと思ってさ。」
「明日も学校あるでしょ?部活で疲れてるだろうし、高校生は早く家に帰って寝なさい。」


 たった二つしか変わらないのに、俺は高校生で、逢崎さんは大学生。社会に出てしまえば二つの年の差なんてあってないようなもの。けど、学生時代の年の差は大きく感じてしまう。


「堅治、携帯貸して。」
「え、なんでですか?嫌ですよ。」
「先輩命令。」


 渋々携帯のロックを解除し、逢崎さんに渡すと、何かを打ち込んで、携帯は俺の手元へ戻ってきた。


「私の連絡先。」


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