第32章 大火と飴と・・・
「あぁ〜…ダルい!!」
『ダルいってあんたずっと寝てるじゃん』
夏休みに入って早1週間
今日は夏期講習の最終日。
最初の1週間を使い行われる授業日で、部活の無い人たちは強制参加だった。
もちろんあたしと華夜は強制参加
「だって強制参加っていうし〜…」
『だからって寝るなや…あんた一応進学でしょ?』
「そーだけど、AOでいいかなって思ってるし〜…」
机に伏せてうぅ〜…と唸る華夜に喝を入れながらあたしは筆記用具を片付ける。
すると、別の友人が「夜琉!!」とあたしを呼んだ
『どした?』
「ごめんカッター貸してくれない?」
手のひらを合わせて頼む友人だったが、あたしはカッターを持ち合わせていなかったから『ごめん…』と謝罪した
「そっか、ごめんねありがとう」
と友人は自分の席に戻った、彼女達は何やら工作のようなことをしていた
おそらく共通の友人が誕生日なのだろう。
コルクボードに写真や絵を貼っていた
「あれ、あんたカッター持ってなかった?」
『うん…黒尾さんに取られちゃって…』
あの日以来、黒尾さんはあたしが凶器の類を持つことに敏感になっていた。料理をしても包丁持つたびにいちいち止めてくるし、文房具も簡単な折り畳み式のハサミ以外持たせてくれない
・・・まぁ仕方ないか