第31章 黒猫の説教と極悪妖怪
「なん…で…?」
「ん~ナイショ♪」
「…それを、どうする気ですか?」
「そりゃ~・・・」
一緒に使うんだよ?
天童の口から恐ろしい言葉が飛び出した。
天童が手にしているソレは、いわゆる薬物の一種。
以前扇南の組員と揉めていたモノ
天童は、薬物取引を担当しているが牛島には黙ってそれを勝手に悪用していたのだ。当然彼自身も・・・
「俺が改良して液体にしたからこのまま簡単に飲めるんだよォ?便利デショ?」
「やっ…やめろッ!!」
「大丈夫だよ~、少しだけ気持ちよくなるだけだから」
透明な液体の入った瓶のふたを開けてそれを川西に近づける。
身体を拘束されて、尚且つ脇腹を撃たれた川西には逃げ出すすべがなかった
「太一…、俺のとこまで落ちてきてよ?」
口を開かされて今にも液体を飲まされそうになった時、天童のケータイが鳴った
「えぇー今からがイイトコなのに…」
口をとがらせてブツブツ言いながら天童はケータイを取る
「はいはい?あっ、及川君!…えっ!?りょーかいりょーかい!!」
電話の主は及川、その及川の電話で天童の顔が歓喜の色に染まった。天童は川西に興味がなくなったように手の拘束を解き川西から離れた。
「ごめん太一、俺別の遊び相手見つかったから行くね~」
ケガをして動けない川西を置いて、天童は倉庫を出て行こうとした。「待て!!」と、ケガをしながらも天童を止める川西だが、身体が動かず起きることもできなかった。
その姿を見た天童は、川西に笑みを見せつぶやいた
「…俺は、若利君のためにやってるんだよ?…邪魔しないでネ?太一」
そう言い残し、天童は廃工場を後にした。
残された川西は、持っていた自身のスマホで白鳥沢に連絡をした
「ハァ…こ、こちら…、川西ッ…ハァ…すみませ…、ケホッ…天童さ、んを…取り……逃が…し…―――――」