第29章 大事な人
「岩泉さんて人なら及川さんのこと分かるかもってことでしょ?」
『まぁね、しかもこの病院らしいから来たんだけどね…。ケガが相当ひどいみたいで会えなかったの』
「・・・。ねぇ夜琉。」
『ん?』
あたしが話していると、華夜は急にまじめな顔つきになった。まぁ、彼女の言いたいことはなんとなく分かった。
「なんでそこまでするのさ。あんた、その及川って人に殺されそうなんでしょ?金田一さんも言ってたけど、あの人はホントに何するか分からないくらい白鳥沢のこと憎んでるし次会ったらホントに殺されるかもしれないんだよ?」
『うん…でも、』
「その岩泉って人だって及川さんから守るために…」
『分かってるけどさ』
「分かってないでしょ?あんた、岩泉さんに会ってどうするつもり?また及川さんのことを聞いて止めようとするんでしょ?」
華夜が言ってることの大半は当たってる。
確かにあたしは岩泉さんに及川さんのことを聞いて及川さんと話をしようとした。
『…だってきっとあの人を止められるのあたししかいないと思うし』
「…及川さんの大事な幼馴染でもできなかったのに?」
『うん、あたしがやるの』
「なんでそこまで…」
なんでって聞かれると少し困った。
そりゃ、あの人のおかげであの世界でやって来れた訳だしあの人のおかげで黒尾さんとも再会できたし・・・
なにより・・・