第28章 黒猫と初恋
「んなの、その殺した相手を見つけ出してぶっ殺す。…いや、それだけじゃねえな。そいつが絶望するくらいの地獄を味合わせてやらねえと気が済まねえな」
『そうですよね。なら、そのときあたしが『殺した人を恨まないで』って言ったら?』
「それでも俺は…ッ!!」
黒尾さんがそこまで言って口を閉ざした。
その仮説はまさに及川さんと同じことで、及川さんは目の前で大好きな人を殺されて、それをした牛島さんに復讐するためにあたしを殺そうとしている。それはまさに黒尾さんが言ったように相手が絶望するくらいのことを・・・
『…人は、みんな何かしら理由がある。理由もなく人を殺したり傷つけたりしない。だから、それを恨みで返さないで。ちゃんと見てあげて。聞いてあげて。…そうお母さんに聞かされていたんです。
及川さんにも、牛島さんにも何か理由がある。だからそれを…確かめて、話したいんです。』
そうやって黒尾さんに話す。黒尾さんは何も言わない
・・・でもすぐに黒尾さんは立ち上がってお風呂から出て行こうとした。
『黒尾さん?』
「おい、ちゃんと温まったら出ろよ。明日病院行くんだろ?」
『・・・黒尾さ~ん!!』
バシャッ!とお風呂の水をまき上げてお風呂からでるとあたしは思わず黒尾さんに抱き着いてしまった
「うわ!!バカ転ぶ!!」
脱衣所でバタバタしながらも黒尾さんはあたしを受け止めてくれた。大きなバスタオルであたしを包んで身体を拭いてTシャツを貸してくれた
そして、黒尾さんのお部屋のベッドで2人並んで今日は寝た。明日は、岩泉さんに会いに行く