第38章 誰のせいか
日代君とお母さんはずいぶんと長い間話していて、途中で林さんが私たちのもとに帰ってきたときもまだ話していた。
「二人とも待たせたなーって、雅は何してるんだ。」
「母に電話して、そのまま二人が話し込んでるんです。」
「ふーん…。あ、いまさらなんだけどさ、名前を教えてくれないか?」
林さんは日代君に目をやってから、私に向き直ってそう言った。
そう言えばまだ私、林さんに名乗っていなかったな。林さんにしたら「こいつはいったい誰なんだ…」と思っていたに違いない。
「宮原 心春って言います。日代君と同じく高校2年生です。」
「お前ら付き合ってないの?」
「いいえっ!」
思わず即答してしまった。頬が一気に熱をもつ。
「わ、私が勝手に好きって言ってるだけで、私たちは付き合ってはないんです…!」
「え、そこまで言ってくれるとは思ってもみなかった…。心春ちゃんって面白いな。」
し、しまったぁ!
とりあえず日代君はそんな関係を望んではいないということを伝えたくて、初対面の人にかなり深い話までしてしまったことが恥ずかしい。
焦ると余計なことまでしゃべってしまうのは私の悪い癖だ。
「まぁまぁ、その事で俺はからかったりしないからさ。そう落ち込まないで。」
恥ずかしくて落ち込んでいると林さんがポンポンと慰めるように肩を軽く叩く。
「はい…。」
あぁ、穴があったら入りたい…。