第37章 救出
どうしたのだろう。いつもと少し様子が違う彼に対して心配になるけれど、元気がないとかそう言うものではないし、尋ねておくのはやめにした。
ケガが酷いからかもしれないし。
「えーっと、日代君。申し訳ないんだけど、ケータイ、貸してくれない?」
彼が不思議そうな顔をするので慌てて理由を付け加えた。
「私今ケータイ持ってなくて。それでお母さんにおつかい頼まれてる途中でこんなことになったから、きっと心配してると思うの。」
「それは早く連絡しねぇとな。ちょっと待てよ。」
日代君はケータイのロックを解除し、お母さんの電話番号に電話を繋げる。
「えっと…。お母さんの電話番号知ってたの?」
コール音が鳴っている間、思わず私は日代君に訊いてしまった。
だって意外すぎるから。
「前にお邪魔した時にな。またいつでも食べに来てって電話番号教えられた。」
そう日代君が答えた後、コール音が止まり、電話が繋がった。
「もしもしお母さん?」
慌ててそう言えば、お母さんが電話越しにえっ⁉と言う声が聞こえる。
「心春?心春今何してるの?醤油買うって頼んだだけなのに…。それに日代君のケータイって…。」
お母さんはかなり混乱している。そりゃそうだよね。
「えっとね、お醤油買った後にヤンキーに絡まれて…。でまた日代君に助けて貰ったの。」
どう説明すればわかってくれるだろうか。焦りながらそう説明したとき、日代君が私の手からケータイを奪い取った。