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【イケメン王宮】彼たちの物語

第7章 おとぎの国の彼


「ん…」

明るくなるのが早くなったせいか、
アヤセはいつもより早く目を覚ました。

隣には愛しいその人が…

「あれっいない!?」

一緒に過ごした次の日は
いつも共にベットで目覚めるはずなのに、
今日はいない。

「どこ行ったんだろう…」

ベッドから起き上がると…

「こっちだよ…」

「え…?」

声のする方に振り返ると
白いタキシードに身を包んだ
茶色い髪の若い男の人がいた。

「あなたは…」

「早く、こっち…」

そういうとその人はバルコニーへと
足早に歩き出す。

「えっまっ待って…!」

その人はそのままバルコニーの
手すりに登った。

「…そこからどうするつもり?」

びっくりして聞くと、

「あーそっか…じゃあ手…」

そう言って差し出された手に
自身の手を置くと…

「きゃっ…!!」

引っ張られ、
抱きかかえられたかと思うと…

「えっ…きゃあああ!!」

そのままバルコニーから飛び降りた。


しばらくして…

「プリンセス、もう大丈夫。
目を開けて。」

その言葉におそるおそる目を開けると…

「な、何…?ここ…?」

そこはおとぎの国のような
メルヘンな世界とでも言うような、
不思議な世界だった。

花は歌い、蝶はよく見ると妖精で、
巨大な樹木やキノコ…

きょろきょろと見渡していると、

「ほら、急いで!こっちだよ。」

「あっうん!」

声を掛けられあわてて
その人の後についてゆく。

淡いもやがかかった道、
怪しい案内人がたたずむ二股の道、
大きなお家、小さなお家…
不思議な空間を
ただひたすらその人を追いかける…


しばらくして…


「わあ!海!?」

明るく開けた場所に出た。

「プリンセス…ほら、あそこ…」

柔らかく微笑むその人が指差した場所に、
愛しい人はいた。


「ジル!!」


笑顔がこぼれて、思わず駆け出した。

振り返ったジルは私を見ると
とびきり嬉しそうに微笑み、

私は広げられた腕の中へ
飛び込んだ……


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