第3章 次の任務へ
カフェを出て、大通りを車で5分もしないうちに、それは見えてきた。
ビジネス街の端。高層ビルが立ち並ぶ一角の中で、贅沢に敷地を使い建っているそれが、今回の私たちの任務地。
「美術館、初めて来ました」
「ふーん、そう」
駐車した車から降りて入り口へ向かう。部下の感動の声にめんどくさそうに返事しないで欲しい。
美術館は、綺麗に刈り込まれハートや熊の形を模した木が配置された庭を通ると本館だ。
美術館の建物自体は、いたってシンプルな箱形の作り。
「アキ、ちゃん」
美術館の入り口は、飾りの柱が何本か建っていて、展示のポスターが貼ってある。その柱のそばに待っていた、アキより目立つ人。
「ハル、早いな」
仏頂面のアキと違い、にこにこと笑みを絶やさないハルは、華やかだし長身なのもあってより目立つ。
そこにアキが加わると…おお、目の保養。見た目だけだけど。
「お前、部下は?」
「先に下調べさせてるよ。館長に話聞くのにアキがいなきゃ意味ないから、待ってたんだ」
「わりーな」
行くか、というアキの言葉に、私とハルさんがついていく。遅れて来たのに、なんで一番偉そうなの。ていうか館長の部屋、知らないでしょ。
案の定、ハルに先を促したアキと共に、美術館の展示を横目に見ながら奥へ進む。平日だけどお客さん、結構いるみたい。
私たちは関係者用のドアを開けて、さらに奥へ。明らかに偉そうな人がいそうな感じのドアの前で、ハルが立ち止まってノック。