第12章 真相
「それよりお前、
さっき俺が言ってたこと覚えてんのか?」
「え…?」
アヤセは少し考える。
そして顔を少し赤くしながら、
「…シドのが大きいってこと?」
と答える。
「違ぇよ。」
「…制度を利用しろってこと?」
「ハァ…もう少し前。」
「…?」
「ったく。
もし子ども出来ちまったら
責任とるって話だよ。」
「え……。
えっ!!
もしかしてプロポーズ…?」
「まぁちゃんとしたのはもっと
きちんとしたとこでしてやるけどな。」
アヤセの気持ちが
甘く締め付けられながら高揚する。
「社会人1年目だから迷うかもしれねぇが、
籍入れるだけならそんな変わんねぇし、
子どもできたとしても、
さっき言ったみたいに制度を利用すればいい。」
「………」
アヤセは感動したように
顔を赤くしながらシドを見つめる。
「…てゆうか俺としてはお前が
社会人なるまで我慢したつもりだ。」
「え…。」
「もう待てねぇよ…。」
「シド…。」
アヤセの目から涙がこぼれる。
「また泣くのかよ。
ったく、ほんとにコロコロ
表情変えやがって…」
優しい笑みを浮かべながらシドは
アヤセの目尻にキスを落とす。
「…週末指輪買いに行くぞ。」
「!!!」
「ここで働く上で、
魔除けの意味も込めてな。」
シドはニヤリと笑う。
そんなシドの言葉さえも
アヤセの心には甘く響く。
アヤセの胸には、
二人の想いが重なった、
あの雨の日の気持ちとは
また違う気持ちが胸に広がっていた。
どこまでも暖かくて平穏な、
落ち着いた幸せ…
「シド……」
「なんだよ?」
「どうぞよろしくお願いします。」
シドが笑う。
「いきなりなんだよ。
……こちらこそ、アヤセ」
シドはチュッとアヤセの
髪にキスを落とすと、
優しく肩を抱き寄せた……。
…おわり♪…