第24章 新たな共犯者/コナン、灰原
「解毒薬が完成したら私達の分もくれるんでしょう?期待してるわ。」
そう言うと哀ちゃんはソファから立ち上がる。
「灰原?もう帰るのか?」
そこでやっと本から顔を上げたコナンくんも慌てて自分のランドセルに手を伸ばした。
「あなたがその本に熱中している間に私達の話は終わったの。あなた、私を口実にさくらさんの本を読みに来ただけでしょ?」
ジトリと哀ちゃんに睨まれたコナンくんは苦笑いを浮かべた。やっぱバレてたか、と口にする。
「いいよ、本くらいいつでも貸すし、いつでも読みにおいで。」
それ持って帰る?と言うと、一転顔を輝かせた。
そしていそいそとランドセルの隙間に読みかけだった本を滑り込ませる。
「私も、また遊びにこようかしら。」
哀ちゃんのその言葉に、私だけでなくランドセルを背負い直そうとしていたコナンくんも驚いた顔をして振り向いた。
「珍しいな、オメーがそんなこと言うなんて。」
「別に。いいでしょ、私だってたまには読書くらいするわよ。」
ふいと横を向いてしまった哀ちゃんに笑いかける。
「もちろん、待ってるね。ああ、でも来る前に連絡くれるかな?ジンやベルモットと鉢合わせたくはないでしょう?」
そう言うと2人の表情がさっと曇った。
しかしすぐに何事もなかったかのように玄関に向けて歩き出す。
それはゴメンだわ、と言い残して哀ちゃんとコナンくんは帰っていった。
2人を見送った後、引き出しからジンから貰った資料を取り出した。
哀ちゃんから貰ったものと並べて見比べる。
少し考え込んでから、余白にペンを走らせた。