第5章 臥竜
「ほんとだ…だけどな…」
ぐっと二宮が歯を食いしばった。
「翔のことは…別なんだ…」
「わかってる…でもありがとう…」
「お前のこと、ちゃんと好きだから…」
「ありがとう…」
ぎゅっと二宮は俺を抱きしめた。
「お前が居なかったら、俺…潰れてた…」
「智…」
「愛してくれて…ありがとう…」
「嫌…」
「え?」
「死ぬみたいだから…そんな言い方しないで…」
「ふ…そうだな…悪かった」
俺も二宮の身体に手を回してぎゅっと抱きしめた。
「智…」
「ん…?」
「死ぬなら、一緒だよ…」
身体を起こして、二宮の顔を見た。
自然と笑みが浮かぶ。
「……ああ」
ごめんな…お前を連れて行く気持ちは、ないよ…
「うそ…嘘ついてる…」
「そんなことねえよ」
「智は本当の嘘つくとき、笑う…」
「…参ったな…」
俺の頬をそっと手で包む。
「俺は翔さんじゃない…だけど、翔さんとは違う愛し方ができる…」
「和也…」
「それに、俺は生きてる…だから、死ぬときは一緒だよ…?」
「…バカ…」
「バカでいい…傍に居たい…」
「傍に…居ろよ…」
サイドテーブルに置いてあるローションを手にとった。
二宮の手を取ると、そこにローションを握らせた。