第6章 せめて…
「えっ……か、カラ松くん?」
わたしは、息をのんだ。
そんな……
どうしてここにカラ松くんが……?
もうとっくに帰ったと思ったのに……
「カラ松くん……どうしてここにいるの?」
カラ松「俺がいたら何か問題があるのか?」
「そ、そうじゃないけど……」
掴まれた腕が、痛い。
カラ松くんの指がぎりぎりと食い込んでくる。
「…あの、カラ松くん……痛いんだけど、腕」
カラ松「……へえ?」
カラ松くんは、おそろしく冷たい目でわたしを見下ろし、まるで他人事のように呟いた。
カラ松「、ちょっと来い」
「えっ……」
突然、腕をひかれた。
カラ松くんに引っ張られるようにして歩き出す。
ちらりとトド松くんを振り向くと、彼は、呆気にとられた顔で立ち尽くしていた。
「ちょっ……カラ松くん!?」
カラ松「……」
カラ松くんは、わたしの呼びかけを無視して、すたすたと歩を進める。
そして。
たどり着いたのは、皮肉なことに、さっき一松くんと行為に及んだ資料室だった。
カラ松くんは、教室の中にわたしを乱暴にほうりこむと、自分も中に入り、扉をしめて鍵をかけた。
「……っ、カラ松くん?」
ただならぬ様子のカラ松くんに、怖くなって、わたしは彼から距離をとった。
……と、次の瞬間。
カラ松「……なあ、」
カラ松くんは、わたしを壁に追いつめ、ガンッと壁に足をついた。
「……っ」
カラ松「具合が悪いから先に帰るって言ってなかったか? どうしてまだ学校にいるんだ?」
「……っそ、それは……っ」
カラ松「俺とは一緒に帰りたくないけど、トド松とは遊びに行きたいってことだよな?」
カラ松くんは、わたしの胸ぐらをつかみあげ、ぐいっと顔を近づけてきた。
カラ松「……それとも、トド松と遊びに行きたいから俺とは一緒に帰れないって言ったのか?」