第22章 花いちもんめ✔
蛍と童磨が出会う──数十分前。
「お。蛍の奴、また声かけられてんな」
「……」
「やっぱあいつはおぼこになり切れなかったか…にしてもあんな寸胴のどこがいいんだか」
「…っ」
「まぁチビ化してるから仕方ないとして、大人になれば多少は肉付きも…あ。また男に引っかかって」
「煩いぞ宇髄! 少しは静かに見張れないのか!?」
「お前にそれ言われたら終いだな。大体その声が煩ェわ」
「ならば逐一蛍の様子を報告しないで欲しい!」
「お前が気になるかと思って」
「気にはなっている! が、煽らないでくれ!」
「ぶっくく! 正直だなァおい。いいじゃねぇか、未来の女房がガキの姿でも男を魅了できるってのは。自慢できるぜ」
「そうでなくとも蛍は俺の自慢の継子だ。器量の良さも十分知っている。余計な気遣いは無用だ!」
「あっそォ。じゃあ黙っとくわ」
「はぁ…最初からそうしてくれ」
「……」
「……」
「…お」
「!?」
「……」
「…?」
「……」
「…っ」
「……」
「……ぅ…宇髄」
「あん?」
「その…逐一細かな報告は不要だが、もし蛍が困っているようなことがあれば念の為…に……なんだその顔は」
「ぶッひゃははは!!! やっぱ気になってんじゃねぇか!!」
「そ…っそこまで笑うことないだろう! なら君は奥方達を気にしたりはしないのか!?」
「するわ派手に!」
「そうだろう! ならその馬鹿笑いは止めてくれ!!」
腹が捩れる程に笑い上げながら、目に溜まった涙を天元は拭い取った。
蛍の監視は天元が、千寿郎の監視は杏寿郎が行うことは決定事項。
任務には実直な杏寿郎が、一人の鬼の女にこうも心揺らぐとは。天元としては面白いことこの上ない。
「はー。やっぱ面白ぇな、お前ら」
「面白がり過ぎだぞ君は本当に…」
「いいじゃねぇか。柱内で所帯持ちは俺一人なんだぜ。同じ立場を共有できる奴がいるってのは純粋に嬉しいんだよ」
「む…」