第5章 嫉妬
………………。
はぁぁぁ?????
土方さんの様子がどこかおかしいと思えば、私と山崎さんの関係が気になっているらしい。
「も〜土方さんったらァ!ヤキモチですか?」
冗談っぽくおどけて笑いながら言うと、土方さんはゆっくりと振り返る。
そして、俯いたままゆっくりと一歩ずつ近付いてくる。
なんだかいつもと違うその様子に嫌な予感がした私は、一歩、また一歩と、後ろへ下がった。
「…ひ、土方さん、ど、どうし……あ、」
そして、ついに壁に背中がぶつかる。
土方さんの右手がこちらに伸びてくる。
私は思わずギュッと目を瞑った。
「……そうだ、と言ったらどうする?」
「…………へ?」
土方さんの右手が私の左頬に触れる。優しく、慈しむように、親指が頬を撫ぜる。
「着物…やっぱり嫌だったか?」
驚いて目を開けて見上げると、少しだけ悲しそうに揺れている切れ長な瞳と目が合った。
「土方さん……?」
「嫌なら殴ってでも避けろよ。」
左頬に触れていた手が慣れたかと思えば、少しずつ土方さんの顔が近付いてくる。
左頬の横の壁に肘をつけ、額が合わさる。
土方さんの吐息に混じってタバコの匂いがふわりと香ったその瞬間、土方さんの唇が私の唇を塞いだ。
「んっ……ちょ、土方さ、んっ」
「こはる…」
「んっ…ふぁ……」
僅かに息継ぎをした隙をついて土方さんの舌が私の歯列をなぞる。絡まる舌が熱い。
壁にあった手は私の後頭部をがっちりと掴み、左手は右頬にそえられ、長くしなやかな指で右耳を弄ぶ。
「はぁっ、あ!やっ……んんっ!」
私に触れる土方さんの全てが熱に侵されたように熱い。
やっと唇が離れたかと思うと、土方さんはその場にズルズルと崩れ落ちた。
「…………え、ちょ、ひ、土方さんんんん?!?!」