第15章 猫王子と修学旅行
『あーかしっ♪』
「…ポチか。どうした」
『赤司にもお菓子のおすそ分けだよ。一番前でしかも隣が先生だなんてつまんない席に座った赤司に、デリバリーサービスだよ』
先生「ワシもう教師やめようかな…」
次のターゲット、赤司に話しかけると、本当に少しだけ嬉しそうにあたし達を見た。何気こいつ、仲間外れとか嫌いだもんな。
「生憎僕はお菓子を持ってきていない。交換は出来ないが…」
『交換なんていらないいらない!ほら、あーん』
パッケージを見せるわけにはいかないから、口まで運ぶために開口を催促する。すると赤司は顔を何故か赤らめながら小さく口を開けた。やだ、可愛い。
その小さい口にお菓子を運ぶと、赤司はゆっくりと咀嚼した。くっくっく…その済ました顔が苦痛に歪められる瞬間をこのカメラで収めてやろう!!!
…が、一向に赤司は辛いの"か"の字も言わない。それどころか、全然表情を変えない。え、何で?
「ふむ。刺激があってなかなか上品な味だ。これは何て言う商品なんだ?」
「「「「「『…は?』」」」」」
「僕は普段、こういったお菓子を食べなくてね。情報には疎いんだ。かつての仲間にお菓子が大好きな奴がいてね、そいつに教えてやろうと思ってるんだが」
…は?ちょっと待て、今なんて言った?周りの奴らを見ても、全員が驚いた表情をしているだけで何も分からない。
も、もしかしてさっき渡したお菓子だけ粉が異常に薄くて辛さが半減されただけかもしれない!うん、きっとそうだ!
『そ、そんなに気に入った?じゃあもう1つあげるよ』
「そうか、すまない」
だが、赤司は再び上品に咀嚼した上でケロッとしている。え!?何!?あたしだけ辛いとか思ってたわけ!?もしかしてあたしが異常に辛さに弱くて、普通の人の何倍もオーバーにリアクションしただけかもしれない!!!