第2章 近くて遠い距離
未だ覚醒しきっていない飛雄を何とか学校まで連れて行こうと押してみたり、引いてみたりするものの中々思うように進まない。
「もー!! 飛雄!! そんなのんびり歩いてたら試合に遅れちゃうよ!! 不戦敗だぞ!!」
いくら寝ぼけているからと言ってそんな冗談通じる訳がない……と思っていたが、効果てきめんだったようだ。
「不戦敗!?? そんなんありえねーダロ!!」
飛雄は急に覚醒し走り始めた。
「えっ!? あ、ちょっと!!! 飛雄!!」
運動部だけあって瞬く間に姿が見えなくなってしまった。
せっかく飛雄と登校できる貴重な時間なのに……と少々の後悔を胸に、私は再び歩き始めた。