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【イケメン戦国】紫陽花物語

第30章 キューピッドは語る Side:I <豊臣秀吉>





そもそも、秀吉さんとさとみが想い合っていることなんて、本人達と三成以外皆知ってる。

まずさとみは、秀吉さんの事になると態度や顔つきが全然違う。それから、秀吉さんの世話好きはいつものことだけど、さとみに対しては度を越してる。


傍から見てたら鬱陶しいくらいの雰囲気なんだけど、当事者達は全く気が付いていない。秀吉さんに至っては、さとみの好きな男は誰か別にいる、と思ってる節すらある。



「あんた…秀吉さんの事、好きでしょ」

「…え、は!?え、なんで!?どうして!?」

「うろたえすぎ」



あまりに鬱陶しいもんだから、ある日気まぐれにそう指摘してやった。さとみは、自分の想いは誰にもばれてないと思ってたらしい。

そのまま想いを告げに行けって助言してやったけど、結局そんな事出来るはずもなく。

その後、何故か仲間として認識された俺は、毎日のように御殿に押しかけてくるさとみに、秀吉さんがいかにかっこいいかを聞かされる羽目になり。

毎回イノシシが飛び込んでくるみたいに轟音立てて部屋に入って来て、こっちが仕事してようがお構いなしに喋り始める。何度言ってもめげずに来るし、もはや天災。



「くそ…」



さとみが帰って、せっかく仕事に集中できると思ったのに、この暑さだ。筆を握る手がじっとりと汗ばんで、いらいらと心が乱れてどうしようもない。

諦めて筆を放り、俺は城へ向かうために立ち上がった。どうせ仕事が出来ないのなら、その原因の一つをどうにかしよう。


今日は近々ある大きな軍議の準備で、秀吉さんと政宗さんが二人で会議をしているはず。城へ到着してから、二人が使っているはずの部屋へ向かうと、ちょうど秀吉さんが廊下へ出て来た。



「どうした?家康」

「ちょっと所用で。秀吉さんは会議、終わったんですか」

「ああ、終わった」

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