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【R18 食戟のソーマ】大好きなのに素直になれない。

第1章 プライドの高い先輩はいつも私を『のろま』という。


「来たか」
「四宮…先輩…どうして」
「百合子ちゃんに会わせたい人が四宮先輩でした!びっくりした?」

日向子はむふふ!とドヤ顔で私に聞いて来た。いや、それはびっくりするとも。だって遠月十傑評議会の一席で先輩である四宮小次郎の事を知らない訳がないのだ。平凡人な私にとって彼のような天才に憧れるのは当たり前であり、尊き存在といっていいくらいの凄い人でもあった。

「まぁ、百合子ちゃん!突っ立ってないで座りましょ!」
「でも…」
「四宮先輩の事は気にしなくてもいいです!ささっ!どうぞ!」

日向子は私の手を引いて椅子を引き笑うので戸惑いながら、チラリと四宮小次郎を見る。しかし凄みのある顔で私の方を見ていた為断れず素直に腰掛けた。すると私の目の前にそっとテリーヌが置かれたのだ。

これって…もしかして、四宮先輩の手作りテリーヌ?

じっ…と見つめてしまい、ついつい見た目も綺麗で美味しそうなテリーヌにキラキラと目を輝かせてしまう。無愛想に「早く食え」という彼の声にビクッと肩が揺れて「い、頂きます」と手をあせて言いナイフとフォークを使い口に運ぶ。

「!…美味しい」
「百合子ちゃん、美味しいですか?」
「うん、凄く…美味しい」
「なっ、百合子ちゃん、泣いて…」

オロオロと困惑した顔で私を見る日向子に私はナイフ、フォークを一旦置いて頬を撫でた。本当だ、私は四宮小次郎の料理を口にして美味し過ぎて泣いていたのだ。料理で泣いたの初めてかも。と考えて「なんでもないよ?」と笑った。そんな私を驚いた表情で見る四宮先輩がいたとは気付いておらず、ハンカチで目頭を抑えてまたテリーヌに口を付けた。

「四宮先輩、ご馳走様でした…とても美味しかったです」
「あぁ…」

頭を下げると四宮先輩の口からは無愛想な返事しか返って来ず、助けを求めるような視線を日向子に向ければ「四宮先輩!もっとこう!なにかあるでしょう!」と悶えて見えた。

テリーヌのお礼に皿を洗っていると、後ろを向いた時に四宮先輩がいた事に気付かずドンッとぶつかってしまう。あぁ…皿が。と床に落ちそうになる皿に手を伸ばせば、見えない速さでパシッと皿を空中でキャッチして見えて、私はそのまま尻もちを付いた。

「皿が割れたらどうするんだ、こののろま…」
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