第27章 飢えて枯れてなくなった
「…これでこそだ、これでこそ俺のモルモット……モルモットナンバー零!!!やってくれる!!!」
『生憎だけど、その名前は必要ないから安心して』
「……おい、お前…その格好、どうした」
柳沢を見据えていれば、そばにやってきた真子にそう問われる。
真子だけじゃない、その場にいる七緒さんや乱菊さん、白哉さん、冬獅郎、一護君に織姫ちゃん…ルキアや恋次、剣八やいっかく、弓親。
そして、阿近やマユリさん、元ヴァイザードの面々からも。
『…斬魄刀見て、分からないかしら』
「……阿呆、…我慢しすぎやねんお前…」
ぽん、と頭に手を置いて、真子はぽそりと呟いた。
「お前が喜助の斬魄刀やったとしても、誰も“お前”を否定せん。安心しィ、駆けつけたもん全員、“中原蝶”の味方やさかい」
『!!』
気を張っていた肩から、力が抜ける。
ああ、なんて奴…これだから、傷つけてばかりになるってのに。
真子は尸魂界の隊長格達を引き連れ、周辺の警備に回ることに。
喜助さんが中に残っているので、もしもの際に私に霊力を…他の隊長格達から供給させる手立てなのだろう。
探偵社やギルド、黒蜥蜴の面々には、クラスの皆についていてもらう。
流石に相手は柳沢…こちらも舐めてはかかれない。
「…こちらも手を打たせてもらおう」
二代目が捩摺から離れ、柳沢の元へ行く。
すると、彼は懐から薬を取り出して、二代目死神へそれを打ち込んだ。
呻き声を上げて苦しみ始めた二代目は、手足の区別もつかないような身体へと変わっていく。
…最終調整って、そういうこと。
『目的は?』
「…復讐さ。それと、まだ中途半端なままのお前の研究の完成…!!!」
マッハで向かってくる二代目にいち早く対抗したのは殺せんせー。
桁違いの速さの攻防に、砂塵が舞い、風圧が周りに襲いくる。
「ほう、一対一でそこまでいくか…ならば仕方ない、奥の手だ」
『…っ、え…!その薬、まさか自分に…!!?』
「止められると思うな、お前は俺からは逃げられん!!!」
薬を奪い取る前に腕に打ち込んだ柳沢。
すると、彼の筋肉が隆起し、肉体が変化しているのが見て取れた。
両腕に触手のような物も生え、しかし体の機能は壊されておらず、五体満足に動いている。
…スピードとパワーを、限定的に付加させた?
「チッ、面倒だ!!俺が出る!!!」
