第22章 云いたかったこと
『中也さんからもらったものなら大事にするもの…』
「俺が言いたかったのはそこじゃねえんだが…まあいい。…今日、拠点出てからどこにいた?……ずっと寒いところに出てたのか…?」
『…途中まで外にいて、途中からは建物の中に』
「誰かに襲われたりは?…さっきの奴ら以外から」
首を横に振ると、ほっとしたように安堵する中也さん。
やっぱり優しいんだ、この人…怒った時はああだったけど。
それでも…多分この人は、何の理由もなしに私に怖いことはしないから。
約束してるから。
「とりあえず今日は…蝶のおかげでもう仕事が無いんだが…どうする?何か食べたいものとか…あるか?」
外食でもいいぞ、なんて言われて、そういえばしたことがないなと思い始める。
けれど私の舌はまだまだ味を感じきるには未熟なようで、特に美味しいと感じる料理なんてもの…
『…じゃ、じゃあ今日は私が作っ「それはダメだ」…』
「しょぼくれてもダメなものはダメだ。ただでさえ水や洗剤は刺激が強いのに、それに加えて刃物に火にだぞ…絶っっっ対にダメだからな!!!お前の脅威になりすぎる!!!」
『料理くらいでき「危ないからダメだ!もしも破って料理なんかしようものならな…!!」…しよう、ものなら…?』
「………夜一緒に寝てやらない」
『…』
一瞬なびいたけど譲れない。
だって、料理するくらいのことで危なすぎるって…納得いかないもの。
「なんだよその微妙な顔……じゃあ一ヶ月撫でてやらな『ダメ…?』可愛く言ってもダメなものはダメだ!!…っ、ちくしょう…可愛い…っ」
なにか聞こえたのは気のせいにしておこう。
『…蝶だってお手伝いくらい……』
「!…いいんだよ、お前くらいの年齢なら何もしなくて。他に色々手伝ってくれてるんだから」
『………パパってこんな感じなの…?』
「ブッ…!!!」
あ、多分違うなこれは。
なんとなく察した。
これだとしたらかなりの親バカとかいう部類に属することになる…中也さんは違うって信じたい。
『…中也さんが作ったご飯がいい』
「!!…そ、そうか!!じゃあ好きなだけ作ってやるよ、お前の大好物の俺の手料理!!」
『そんなに量はいらな「好きなだけ作ってやるからな〜♪」…』
言わなきゃよかった、なんて後悔。
でも結局は、大好きなご飯だから頑張って食べてしまうのだけれど。
