第17章 芽
帰り道、翔くんの運転する車で俺たちは無言だった。
ただ、ただ、凄かった。
まだ舞台の余韻が残る。
和也のリオネルは、最後の最後、狂気に苛まれてフランス革命の成就と共に死ぬ。
その魂が天に昇っていくところで幕は降りていく。
その先にリュカの魂が待っているかどうかは、観客の想像に任される。
「…智くん…」
「ん?」
「リオネルはさ、リュカのこと…愛してたのかな」
「ん…ニノの解釈だと、完全に愛してるよね」
「智くんだったら、どう演じる?」
「さぁ…今、和也のみたばっかりだからね…」
「アレ以上のものってない気がするけどさ…でも」
翔くんが、ゆっくりと俺の手を取った。
「智くんのリオネルも見てみたいな」
ぎゅっと手を握ると、微笑んだ。
「そっかぁ…じゃあリュカは誰に演ってもらおうかな…」
「俺やろうか」
「翔ちゃんが!?」
「だめぇ?」
翔くんがおどける。
「翔ちゃんはガエタンだよ…」
「まじか。国民議会か…」
「潤がロランな」
「雅紀は?」
「ジョエル…?」
「じじいじゃん!」