第76章 ヒソップ
その週の日曜。
スポーツジムで汗を流していると、着信があった。
見てみると、知らない番号で…
どうしようか迷った挙げ句、折返し電話をした。
『もしもし…』
「あ、あの電話…くれました?」
『課長…大野です』
「あ…ああ…どうした?」
『すいません。折り返しもらって…』
「いや、いいんだ。なんかあった?」
少し、息を飲むような沈黙があった。
『…昨日、母の四十九日が終わりました』
「ああ…そっか…もう一ヶ月以上経つか…」
ということは、キスをして一ヶ月…
って、何を思い出してるんだ俺は。
『あの、今日…よかったら課長の家に行っていいですか?』
「えっ…!?俺んち?」
また、ちょっと沈黙した。
『…胸…貸してください…』
断れなかった…
あんなこと言ったの、俺だし…
それに
大野さんの声は、弱々しくて…
「おじゃまします…」
慌ててジムから家に帰って、掃除して。
落ち着いた頃に大野さんがやってきた。
「散らかってるけど…どうぞ…」
普段から片付けは得意な方じゃない。
これでも頑張って片付けたが、どうみても綺麗な部屋とは言い難かった。
そんな部屋に大野さんを上げるのは恥ずかしかったが、しょうがない。
「いいお部屋ですね…」