第39章 ・義兄、遠征中の話 その5
たまりかねた日向の叫びに文緒はやっと落ち着く。
「やっぱお前見た目よりおっかねえ。」
影山がうっかり呟き文緒はバッと振り向くが谷地が文緒を抑え日向が影山の背中をベシッとして事は今度こそ一旦収まった。
さて、そこいらにベラベラ喋る奴はいないがそのつもりはないのに覗き込まれてる奴が東京にいた。
「お、烏野のチビちゃんからまたメールかぁ。続くねえ。」
「クロ、私信を勝手に覗かないでよ。」
「いーじゃねえか見られて困るやりとりしてるんでもあるまいし。ん、何だその写真。チビちゃんとあのセッターとマネちゃんと、誰だこの気取ったロリ。」
「ちょっとクロ、勝手にスワイプしないで。」
「何ーっ。おい木兎、噂のウシワカ妹だぞ。」
「マジか見せろっ。」
「木兎さん、人の私信を覗くのはいけま」
「おおこれがっ。ってなーんだふっつーじゃん、つかロリ。」
「何を期待してたんですか、そらもうやめてください。ごめんよ孤爪。」
「そもそもはクロが悪いからいいよ。それよりこの子ロリって言ったら凄く怒るらしい。」
「違うつもりなのにも驚くけどまあ気にしてるんだろうな。」
「いいねえいいねえ、天下のウシワカロリコン疑惑。」
「クロ、顔下衆い。」
「木兎さんは間違ってもここで笑わないでくださいね、通行人の迷惑ですから。」
「無理あかーし、それ無理。」
「我慢してください、いい加減蹴りたくなりますので。」
「凶暴かよっ。」
「何にせよ驚きだぜ。このロリどうやってウシワカをシスコンにしやがった、こんなご面相でよ。」
「さあ。俺はどうでもいい。」
孤爪は呟きスマホをスタンバイ状態にしてポケットにしまいこむ。
「義兄妹だけど意外と同類だったりして。」
呟く言葉は他には聞こえない。
次章に続く