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【ハイキュー】ウシワカイモウト第二部

第22章 ・海へ行く話 その3


そういう訳で今文緒と白布の目の前には牛島若利その人がドドンと立っていた。そろそろ義妹を連れてきてやらねばとでも思ったのか。

「兄様。」

見上げる文緒に義兄は何も言わずにいきなり自分が着せた上着をひっぺがしにかかった。文緒がつい本能的に万歳をした為にでかい上着はするりと抜けてはたから見れば幼い子供が親に脱がせてもらったみたいである。
横にいる白布がそっぽを向いてまた吹き出しそうになるのを堪えている辺りからどれだけ笑える図だったかがうかがえた。

「行くぞ。」

呟く若利に文緒はつい尋ねる。

「良いのですか。」
「俺が一緒にいる。」
「嬉しいです、兄様。水辺にもいけないのかと思ってました。」
「正直近づけたくなかったが瀬見達に叱られた。」
「何て事。」

つまり瀬見達の口添えがなければずっと文緒を荷物番状態にする気だったという事だ。

「波にさらわれては困る。」
「そのお気持ちはわかるのですが」
「結局俺がついていればいいと考えた。」
「そうですか。」
「とにかく行くぞ。」
「はい。ただ少しお待ちくださいな、日焼け止めを塗り直します。」
「そうか。」

呟く若利に背を向けて文緒は持ってきたポーチから日焼け止めを取り出して塗り始める。しかし、手の届くところから塗っていると背中から何かを感じた。

「あの、兄様。」

ためらいがちに文緒は呟いた。

「自分で塗れます。」
「背中は届きにくいだろう。」
「いえあのどうかお構いなく。」
「お前は念入りに塗っておく必要がある。」
「お気持ちは嬉しいのですが」
「あまり動くな、ムラになる。」

これはいけない。文緒は横にいた白布に助けを求める視線を向けてしかも驚くべき事に白布は応えた。

「見てる方が恥ずかしいんでやめてください。」
「兄が妹の面倒を見ているだけだが問題になるのか。」
「いちゃついてるようにしか見えないんでやめてください。」
「そうか。」

白布にまで言われるのは相当と判断したのか若利は文緒の背中から手を離し、文緒は大慌てで日焼け止めを塗り直した。

その後若利と一緒に野郎共と合流した訳だがその間またも若利がしっかりと手を繋いでいたのは言うまでもない。
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