第22章 夢と現実
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深夜の病室に今日も変わらず銀時が一人で天音が目を覚ますのを待っていた。もしかすれば今この瞬間に目を覚ますかもしれないという期待と、このままずっと目が覚めないかもしれないという不安から禄に睡眠を取れていない銀時はかなり憔悴していた。
銀時「…目が覚めた時にこの傷治ってたりなんかしたら許さねぇからな。」
銀時はまだ少し痛む傷口を抑えながら静かに一人口を開く。勿論その言葉に返答は無く、銀時は悲しげに薄く笑った。そして眠る天音の手を握りまた独り言を言った。
銀時「…二度とこんな目に合わせたりしねぇから…頼むから、目を開けてくれ…。」
銀時は俯きながらそう言った。静かな部屋に銀時の切なさと苦しみが混じった声が響く。するとその言葉を放ち少し経ったあと、銀時の思いが通じたかのように握っている天音の指先が微かに動いた。銀時はその僅かな動きを感じ取り咄嗟に顔を上げ天音を見る。
『………。』
銀時「お、おい…天音!」
『……………っ。』
銀時が声を掛けたと同時に天音の目がモゾモゾと動き始めた。銀時はハッとなり何度も天音の名前を呼び続ける。その声に答えるように天音はゆっくりと目を開いた。
銀時は目を覚ました天音を見て、睡魔や疲労何てものは嘘のように吹き飛び、性別など関係無く、目には涙が滲んでいた。