第5章 懐かしさが溢れてくる
櫻井視点
チーフ「あの車で着替えをしてくれ」
チーフが指さす方を見ると、ドールのマークが描かれたコンテナが乗ったトラックがいた。
「あれは…輸送コンテナですよね?」
確認を取りながら、メンバーを見る。
智くんも俺と同じ反応しているが、他の三人はニヤニヤしている。
(三人は中…知ってるのか?)
スタッフが側面に階段を取り付けている。
チーフ「そうだ!!」
どや顔のチーフ。
(さっき真顔で嘘ついてたよなぁ…)
「チーフが発注したんですか?」
そのドヤ顔が気になる俺は階段の下まで行くが上らない。
チーフ「我ながらいい出来だろ!」
「そ、そうですね…」
(これが、移動トラックって言うヤツなんだな?
この中で着替えろって?窓もないのに…
蒸し風呂で着替えにメイク…
えーヤダな~)
脳内で文句を言っている。
N「あーもう、文句はあとで聞きますから、中入ろう!!」
ニノが腕を掴む。
「え?あ、あのニノ…文句なんか…」
結構な勢いで引っ張られる。
A「入ろ!入ろ!♪」
続いて背中を押しはじめる雅紀。
「ま、まってよ。自分で歩けるから…」
階段二段目で、よろめく俺。
M「ほら、リーダーも!!」
O「あ…うん」
後ろ潤と智くんの声がする。
(悪い方のサプライズじゃないよね…暗いのや蒸し蒸しはイヤだよぉ…)
チーフ「オープン!!」
輸送コンテナの側面の重そうな扉を引くチーフ。
外壁の鋼板がゆっくり動くと、その内側に普通のスチールのドアがあった。
「扉…?」
現れた物があまりにも普通だったので、間の抜けた顔になる俺。
チーフ「これがカギ。
開けて入って!中に衣装があるから、着替えたら出てきてくれ」
小さな普通の鍵を渡された。
N「早く!開けて!」
ニノが横から催促する。
「中…知ってるの?」
N「こうご期待!」
ニヤニヤするニノ。
A「大丈夫だよ。中ぁ普通だから!!」
雅紀がニコニコしている。
N「黙ってて!」
雅紀に小さくひじ打ちをするニノ。
A「はーい」
当たる寸前でかわしている雅紀。
(こいつら、何か企んでる…)
そう思いながら、小さな普通の鍵を鍵穴に入れ、ドアを開けた。