第13章 Ti voglio bene /弱虫ペダル 御堂筋翔
あのなァ…。
うん。
ボクは船乗りやないから港港に女は作らん。
ほう。
そんなにあちこち誰でも好きにはならん。
そんなにあちこち好きになられるとも限りませんしね?
…黙って聞けや。
はい。ごめんなさい。
謝らんでええ。兎に角黙りィ。
了解。黙ります。お口チャックで…。ん。……ん?
……それでええ。
はぇ?
何や?
いや…何って…あなたこそ今の何?
何て君にバチが当たったんやない?
…バチって…バチ?どっちのバチ?
コレをバチ言うんやろ?君のとこじゃ。
御堂筋くん、どうした?今日の頭は大丈夫?
失敬やなァ。ボクの頭は毎日大丈夫や。
お別れの挨拶?
ボクは日本人や。挨拶代わりに人にバチったりせんわ。
じゃあ今のは何のバチり?
それくらい自分で考えェ。宿題や。
待って待って。これは一人で答えが出せる気がしない。宿題には難しいです。
ボクはそのうち必ず君の嫌いな悪趣味なユニフォーム着てェローマでゴールを決めることになっとるんや。そんなに時間はかからん。かけん。
言ってましたね。ジロの布団に雪の降り積む…。
ジロ・デ・イタリアや。布団は関係ないやろ。…君ィ、どこまでも変なコやなァ。
私はずっと変なコのままでしたねえ…。
他に何かあるん?頓珍漢か?
いい加減泣き出すぞこのヤロウ。
メンドくさいから止めェ。女の涙はキモいだけェ。
男の涙ならいい?
ボクが捻じ伏せて泣き出したんなら悪ないなァ。ひひ。
成程。それは大層御堂筋くんらしいことですね。ひひ。
あのな。
はい。
君はほんまにアホやなァ。
いよいよ泣き出すぞ。コラ。
まあええよ。君はそんなんで。そうやってボクんこと待っとり。
マッコリ?
マッコリでも眞露でも何でもええわ。大人しくイタリアに行って家族孝行しとき。
そのつもりです。
ボクはなァ、君にうっかり会うてもうたずっと前から、イタリアへ行く気やったんや。だからボクと君がまたイタリアで会うのは当たり前のことォ。大人しく待っとり。そういうバチや。
そういう…バチ?
ボクゥ、君苦手やねん。
知ってますよ。流石に。ずっと言われてるから。
苦手やけど、嫌いやないィ。
日本語難しい。