第52章 初恋苦し（北信介）完結

「男の子はな
好きな子の前では
カッコつけたがるし
素直になられへんくて
意地悪もしたなるモンや
カッコ悪ぅはないんやよ」

真っ赤になる俺を見て
婆ちゃんは更に続ける

「一回落ち着いて
チャント周り見てみぃ？
見えてへんだけで
そんなに状況は悪くないと
婆ちゃんは思うで」

少し冷めたお茶を
もう一度勧めて
"ほな、行っといで"と
背中を押す

状況悪ない言うたかて…
周りみろ言うたかて……

「…今日は居らんのか？」

居らんけど！？

「ホンマや。
シツコイ位来とったのに…
休んでんちゃいます？
侑ー…」
「俺は知らん
練習すんで、アホ治」

しかも侑すら
知らんとか…
なんかあったんか？

練習急かした割に
調子の上がらない侑と
布施が気になって
やや掛かり気味の俺

「おい、信介
侑止めた方がエエんちゃうか？
怪我すんで」

暗に俺にも
注意して

「ほら、説教は
部室でせぇよ！」

「おい…」

「アランくん！？」

俺と侑をコートから追い出す