第52章 初恋苦し（北信介）完結

必死にカッコ付けてみるけど

『…はい』

布施の反応はイマイチで
自分がハマってない事を
痛感して虚しくなる

「布施？どないしてん？
コイツはエエやつやから
何言うても聞かんかった事に
してくれるし
安心して話してエエねんで？
ほな、行こか
婆ちゃん今日は老人会の
お茶会行ってて居らんから
大したもてなしでけへんけどな」

俯く布施の背中を
"ほな、行こか"と触れた
次の瞬間

『…北さん…二人で
話したいんです…』

小さな声が
耳に届く

二人？
それは本気で言うてんか？

『ダメですか？』

ダメやない。
俺はそうしたい、けど

「…それは…ヤメトキ」

アカンねん。
俺、な。
お前を傷付けへん自信がない。

『なんで…ですか？』

お前の中に居る
聞き分けの良い
北信介で居れる自信が
ないから…

「なんでも、や」

二人切りなんか、止めた方がエエんや