第52章 初恋苦し（北信介）完結

スポドリを流し込み
必死に息を整えながらも
視線は帰って来ない
布施を探してる

帰ったんやろか？

そう思って
視線をコートに戻そうとした
その時

体育館の重いドアが開く音が響いた

そこには
コソコソ入って来る布施の姿

「大丈夫か？」

無意識に駆け寄ってた
布施の背後

『ヒャ、ヒャイ！
すいません！！』

振り返った布施の顔は
真っ赤で目がうるんでる

「何謝っとるん？
顔赤いな
保健室行くか？」

『え！？保健室？！
そ、そんなん…！！』

思わず伸ばしてしまった手に
オロオロして首を振る布施

「…あぁ、その役は
侑やんな…スマン、布施」

自分で言っては
また胸が痛む。

ほんまは、な。
押して押して
押し倒してやりたいって
思ってんねんよ。

でも……

『いや！北さん…！
そんなんじゃなくて……』

「なんや？」

出来へんよ。