第52章 初恋苦し（北信介）完結

ツカツカと
小さな背中に近付き
パチパチと頬を叩く
布施に

「何回叩くねん
顔腫れるから
もう止めとけよ」

声を掛ける

『北さん！いつの間に！
てゆっかいつから見てたんですか？！』

振り返った布施は
髪型以外は
いつもと変わらん

アップにした髪型も
清潔感あって
好感度が上がる

サラッと褒めて
話に誘って
それで…と
頭の中でシュミレーションする
俺の目に
いつもより顕になってる
首筋が映る

シッカリと付いた
赤い後

虫刺されか？なんて
戯ける事も出来へん

『なんか付いてます？
寝起きやから…もしかしたら
ヨダレの後、とか？』

首元を見つめる俺を
ハテナを浮かべて見上げ
見当違いな事を言いながら
慌てて顔をゴシゴシ擦る

「そっちちゃう。
コレ…侑の仕業か？」

つい伸びた指先は
赤い痕をなぞる

なぞった事で
やっぱり虫刺されとは
違うとハッキリして

「聞いてるやろ？
応えられんのか？」

口調がキツくなる