第52章 初恋苦し（北信介）完結

ユックリ唇へ移動していく
布施の唇を止めたのは

「なんしょん？」

治の冷めた声

「…部屋入ってから盛れや
発情期か、アホが」

「オマエ、邪魔しに帰って来たんか？
って…なにしとん…！」

その声で
布施より早く
隣の俺に気付いた侑が
目を白黒させてる

「なにって？アカンの？
連れて来たら」

「あかんの？って
オマエなぁ！
この状況見せてエエ相手か
どうかくらい
分かるやろがい！鈍チンか！」

侑は俺に気を遣ってるのか
布施から離れようとしてる
布施は…
動く事はなく
腕はシッカリ侑に
絡まったまま。

せやんな。
誰が来たかて
離れたくないよな

ずっと望んでた

「…仲良ぅてなによりや」

侑の彼女になったんやから。

邪魔したくて来た
お前を追い掛けたくて
攫ってしまいたくて
ここまで来た…けど

『北、さん！？』

「なんや？顔見んでも分かるん？」

『は、はい…
あの、これは…えっと…！』

「おめでとうさん」

それはやっぱり
間違ってたんかも知らんな。