第52章 初恋苦し（北信介）完結

「信介、エエんか？
アレは…多分まとまんで？」

「…せやろな」

アランの声に言葉少なく応え

コートに戻る

布施が笑えば良い
その気持ちに嘘はない

侑と居って
布施が笑うなら
それが一番やって思ってたんや
ホンマやねん。
でも…

「…早かったな、二人とも」

戻って来た二人を見て
俺の心は揺れとった
姫凪は笑ろてんのに
幸せそうやのに

「なにしとんねん。
イチャつくんは練習終わってからせぇよ
布施…良かったなぁ」

こんなにも心が篭もらん
言葉吐いたんは
生まれて初めてやないかな

チラリと侑の隣にいる
布施に目をやると
幸せそうに侑に寄り添ってて
泣いてたんが嘘みたいに
幸せそうや。

良かったやん
そう言って笑いたいのに
頭を撫でてやりたいのに
俺はただ二人を見つめるしか
出来へん

「北さん！あの…！」

「侑、お前のした事は
間違いやあらへん。
チャント見といたり
……泣かしなや」