第14章 ♡召しませ☆大王様（及川徹）前編✣完結

「イヤだね　バーカバーカ」

じゃあ興味ないや！
誰にでも言うくせにさ

『及川先輩子供みたい（笑）』

っていう姫凪ちゃんの方が
子供みたいな顔で笑ってる
一瞬映しだされた色気はもう
目に宿ってなくて
さっき照れた時と同じ
純粋で可愛いな姫凪ちゃん

『ヤッパリ一人で帰りますから
先輩先に帰ってください』

「でもそれじゃ濡れるじゃん」

『その辺の人捕まえて入れてもらって
帰りますよ』

ナニを？なんて考えるとか

「傘だけじゃなくて
他のまで入れてもらって帰る気なの？」

ましてそれを口に出すとか
今日のオレどうかしてる　

『及川さんがしてくれるなら
その方が嬉しいですけどね（笑）』

それに普通に返してくる
この子も相当オカシイよ

「するわけないだろ？」　

『ですよね！じゃ！サヨナラ先輩！
風邪ひかないで下さいね！』

オレと不似合いな小さな傘残して
姫凪ちゃんが
走って行った

一体キミはなんなの？
変な子。
どれが本当かどれも本当じゃないのか
なにも分からない
なのにこんなにオレを
掻き乱すなんて

生意気だよ
大嫌いだ　

あんな子なんか
すぐ忘れてやる　

不似合いな小さな傘を部室に置いて
自分の傘をさして帰った