第1章 その1
渉の作ったパスタが載っていた、真っ白なお皿を洗い終わり、
コーヒーを入れて 渉のいるリビングへ持って行った。
「わたるー…」
どうやら読書にかなり集中しているみたいで、私の声など聞こえない様子。
眉間にはぎゅーっとシワが寄ってる。
「ねぇわたる、コーヒー淹れたよ」
「……んー?」
「コーヒー淹れた!ここ置いとくね」
「んぁあ、ありがと」
やっとこっちを向いて、少しキョトンとした顔で、コーヒーカップに目をやる。
「…ふふふ」
「…?どしたの」
「さっき、眉間にふかーいシワが入ってたよ」
「あ、ほんと?ダメだね〜それは。ここシワシワんなるな」
自分の眉間を人差し指でマッサージしながら
ダメだ〜 と笑うわたる。
「そうだよ伸ばさなきゃ」
「じゃあ伸ばして」
何故か目をつむって、眉間を伸ばせと要求している。
その顔を見ながら、あんなに夢中で読書していたのに、
変に集中力切らせちゃったかなぁ…と反省する。
「もうシワ寄ってないから大丈夫だよ
本の続きどうぞ!私もやることあるし…」
そう言うと、わたるは グッ と眉間にしわを寄せ、
「本当?もう大丈夫?俺つるつる?」
…いや、シワシワですけど…。