第4章 楽園
「さあ、本番は
これからだよ、翔ちゃん!」
今度は、さっきの動物園から
車で5分くらいの
アスレチック施設へやってきた。
ヘタレの翔ちゃんは
ちょっと苦い顔をしたけど、
俺のたっての希望で連れてきてもらった。
ネットで見たとおり
なかなか本格的なようで、
小学生くらいの子供から
俺らくらいの大人まで
いろんな人が挑戦してる。
子供向けの初級コースと
大人向けの上級コースがある。
初級コースを見つめる翔ちゃんをよそに
俺は当たり前のような顔をして
上級コースに向かう。
「雅紀、俺のこと置いていかないでよ?」
さっきまでの「王子様翔ちゃん」は
どこへやら。
嫌そうな、泣きそうな顔をして
俺のTシャツの裾をつかむ翔ちゃん。
ギャップ萌えってやつ?
…反則だよね。かわいい。
「わかったわかった、
ちゃんと待つから!」
最初の方は
丸太の上を渡るみたいな
簡単なやつから始まり、
翔ちゃんも
“あれ、思ったより簡単じゃん。
俺でも意外といけるんじゃね?”
なーんて顔をしてたけど。
油断してちゃあいけません。