第13章 ※◇◆Summer to spend with you.
一人は消えたが、残る人数は二人とはならなかった。
科学班のバーベキューよろしく、イカ焼きを行っている集団を新たに発見。
そこに加わる美女を見るところ、どうやらビーチを占領している集団は皆仲間らしい。
親密さは計り兼ねるが、メンバーやら仲間と表現しているのが証拠だ。
「誰だろう、あの人達…なんかどっかで見たような…。でも教団の人じゃないよね」
「………」
「ユウは知ってる?」
「知らねぇ」
海水浴を楽しんでいるのだろう、イカ焼きパーティをする彼らは海パンに水着姿であるが、日陰に放られている黒地に赤雲が描かれた外套のようなものは見覚えがある。
鮫のような鋭利な歯と真っ青な肌をしたとある男が、常に身に纏っていた装束と同じものだ。
十中八九、彼の仲間とやらなのだろう。
しかし神田は素っ気ない態度で素知らぬフリ。
今此処で彼らに関わることは面倒なことに繋がり兼ねないとわかっていたからだ。
「イカ焼き買うなら俺によこせってんだよ。つうか何フツーにボッタクられてんだ、オメーはよ、鬼鮫!角都が調子にのんだろ!?うん!?」
「イカ焼きくらいで目くじら立てないで下さいよ。大体何でそんな貧乏なんですか、デイダラ。あなただってそれなりに稼いでると思いましたがねえ」
「入って来た金は使わねえと世の中が回んねぇからな。宵越しの銭は持たねぇんだ、俺は。うん」
「なら百両くらい惜しまないで買ったらどうです、イカを」
「世の中回すのは構わねえけど角都を儲けさせる気はねぇんだよ」
「…心が狭いんですねぇ…」
「うるせぇな!そんな人に言うくれぇ心が広いってんなら俺におごれよ、イカ焼きを!!!」
「あ。」
しかし雪は違っていた。
角都と呼ばれる男の焼くイカを巡り、金髪髷のデイダラと呼ばれた男と言い合っている相手は、神田をも越える大柄な身長に強く主張する青い肌の持ち主。
魚人のようなかの男を見つけると、雪は反応を示した。
「ユウ、あれ見て!あれ、鬼鮫さんじゃ」
「知らねぇ」
「いや、あれ鬼鮫さ」
「知らねぇ」
「鬼」
「知らねぇ」
弾む声で指差す雪を、片っ端から拒否。
どうやら意地でも見なかったことにしたいらしい。