第46章 ヒヤシンス

Sho side

雅「何で…松潤を避けてるの?何があったの??」

雅紀が心配そうに俺を覗き込んでくる

雅「ホントは話してくれるのを待つつもりだったけど…俺,待てないよ…二人がこんな状態なの見てらんないもん」

泣きそうな顔をしてる雅紀の頭を
松岡くんがポンポンと
大きな掌で包み込んでいた

昌「そういうわけだから…櫻井…吐け」

言葉はいつも乱暴だけど
雅紀を抱き寄せる松岡くんの手は大きくて
俺に視線を送る瞳も優しかった


翔「潤と別れた方がいいんじゃないかって思って…」

重い口を開いて…言いたくない言葉を口にすると

雅「なんで!?」

遮るように雅紀が身を乗り出してくる

昌「黙って聞け…」

その躰を引き戻して
松岡くんが後ろから抱きしめた

翔「潤を…幸せにできないから…」

言葉にすると
自分の中でくすぶっていたものが
鮮明に浮き彫りにされていく

気づかないふりをしていた痛みが
胸に響いて…抉られていく…

雅「なにそれ…なんで今更!?」

今度は松岡くんが止めるのもかまわず
雅紀が身を乗り出して俺にくって掛かってきた

雅「一緒に居たらあんなに幸せそうなのに…なんでそんなこと思うの!?」

翔「だって未来がないでしょ…潤は,俺たちの未来に不安を感じてるんだよ…でも…俺はその不安をどうすることもできないから…」

そこまで言葉にすると
胃の中からこみ上げてくるものがある

それを唇を噛んでやり過ごした

翔「子供も作れない…家庭も持てない…なんの保証もない……潤の欲しいもの…何も与えることができないんだよ」

自分の言葉に
自分が一番傷ついていた

自分のできないものを認識すると
ホントに未来なんてないんだ…と実感した