第17章 ヴィンテージ・ワインscene1
「なんで俺を捨てるの?」
涙の合間に潤が訴えてくる。
「先に捨てたのは潤じゃないか…」
潤はそれには答えない。
「俺のこと何だと思ってたの?俺だって人間だよ。今の潤と同じ気分だったんだよ?」
「なんでだよ。俺は別れるなんて言ってないだろ」
「毎晩、毎晩。俺がどんな気持ちで潤を待ってたかわかるか!?」
潤は黙り込んだ。
「おまえはいいよ!飲んで帰ってくりゃ、俺がいるんだから。でも俺はちがう。おまえしかいなかったんだ!」
そう言ったら、俺も涙が出てきた。
「俺、何回も言ったよね?今日くらい早く帰ってきてって。でも潤、一回も帰ってこなかった」
「和也…」
「俺には捨てられたも同然だよ。話きいてもらえないんだから…」
涙をふいた。
「こんなのが付き合ってるっていえんの?俺だけ我慢して…」
潤は下を向いてしまった。
「そんなに楽しけりゃ、そいつらと結婚でもすればいいよ。俺はもう、潤のこといらないから」
「和也!」
「もう傷つきたくないって言ってんだよ!わかんねぇのか!」
思わず叫んでしまった。
でも止まらなかった。
ここ数年分の鬱憤がすべて噴き出してきたようだった。
「早く出てけよ!俺を大事にしないやつなんて、俺の人生にはいらねーんだよ!」
「……大事に、するから」
「は?」
「これからは、大事にするから…」
「信用できるか。早く出てけ」
自分でもびっくりするくらい低い声がでた。