第2章 不安定続(風魔小太郎)
椿side
私の返事を待たずに、小太郎さんに軽々と抱き上げられてしまう
小太郎「しっかり捕まって下さい」
その言葉を言うと、常人とは思えない早さで走り出し、私は持っていた荷物を落とさないよう縮こまる
あっという間に街を抜け、山道に入ったまでは解ったが
慣れない揺れに少し怖くなり、
椿『きゃっ』
顔を伏せてしまい何処を走って居るのか解らず、多少の不安が出てきてしまう
それが伝わったのかは解らない
僅かだけれど小太郎さんに引き寄せられるように抱え直され
小太郎さんの気持ちが近くに感じ安心してしまう
小太郎「もうそろそろ見えてきますよ」
しばらくして、動きが止まるりその場所を確認しようと周りを見渡せば
椿『わぁ…』
少しだけ開けた場所に、この時期には珍しいぐらいに、色々な山の花が美しく咲きいていて
美しさに瞬いてしまう
小太郎「以前椿さんの所に向かう時に見つけて、いつか一緒に来たいと思っていたのです」
優しく目を細めながら、言われる言葉に距離の近さも手伝って胸の中が騒がしくなる
椿『あっあの』
言いたい事が解ったのか、地面にゆっくりと下ろしてくれ
顔を上げるのと同時に
すっと、目の前に白い椿の花が差し出された
椿『これは?』
小太郎「本当は、桃色の山茶花を探していたのですが、花が終わりの時期になっていたので」
いつの間に積んだんだろうと疑問におもったけど、私の為にと考えてくれてる事が嬉しくて
椿『ありがとうございます、凄く素敵です』
受け取ろうと手を伸ばしかける私の手をとると
小太郎「白い椿の花言葉は「完全なる美しさ、申し分のない魅力、至上の愛らしさ」どれも、僕から見た椿さんなので」
そう言って、繋いだ手と反対の手で椿の花を耳元の髪に着けてくれ、ふふと笑いながら
小太郎「やっぱり、似合います、椿さんにピッタリです」
こんなに誉められたのは初めてで、恥ずかしさなのかドキドキし過ぎて顔に熱が集中するのが解る
恥ずかしくなりうつ向くと、私の頬を包み込むように触れられる