第5章 ~CHITOSE SENRI~
時計の音だけが響く静かな部室に私たちの息遣いも合わさる
最初は触れ合うだけの唇もだんだんと深くなっていく
私は息をするのも絶え絶えで、空気を求め薄く唇を開く
「っ......っは」
一度唇を離した千歳だったが、の潤んだ瞳の奥に熱が揺らめいていて
胸が甘い痛みに疼くと、そのまま舌を割り入れた
今だけ
今だけでも
俺のものになって
そんな思いで必死にの舌を絡めとる
「んぅっ.....ふ、ぁ...」
の甘ったるい声が脳を刺激して口内で水音がなるのも構わずに口づけを繰り返した
苦しい
気持ちいい
怖い
怖くて
頭がおかしくなりそう
気持ちいい
私の思考がぼーっとしてきた時、漸く千歳の唇が離れ、私は呼吸を繰り返しながら生理的な涙を流した
「...ごめんね」
千歳の長い指が私の涙を優しく拭う
「ごめん....好いとう」
千歳の薄い肌を通して流れてくる
千歳の気持ちが
「どうしてもが欲しか...」
〝本当だ”って言ってる
私はこんな時にも思ってしまう
千歳が好きなものに好きと言えるのは
本当に羨ましいなと思った