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【イケメン戦国】私と猫と

第28章 桜の咲く頃  四幕(十二歳)


喜之介は、そんな事をいう湖の言葉もたいした聞かずに
側にあったまんじゅうを一気に二つ口に放り込み

「ほまえ、もーいけよっ」

と、もぐもぐと口を動かしながら
一つまんじゅうがのった皿を湖に突きだしす

「え?うん?おまんじゅう、ありがとー。また持ってくるね」

なんだか解らないが、皿を受け取った湖はその部屋を去って行く
残った部屋では

「…喜之介、あの方はまた一ヶ月もすれば十五になられる…諦めよ」
「…存じています」

兼続がため息を、喜之介は顔を熱を冷ますように手で自分を仰いでいた

「其方の「あの発言」をな、湖様にまだ根深く残っておって無自覚だぞ。危なくて外にだせぬ…」
「…はぁ?!あれで…ですか?!」

指を指したのは湖の出て行った方向

「あれでだ」

黙っていれば、信玄の言うとおり天女のように美しい
ただ現在は中身が伴わない
「美しい」というよりは「可愛らしい」という言葉が、外見と中身を相似見ればふさわしいだろう
城内の家臣も女中も、湖への扱いは未だ幼子に接しているような様子が多い

「普通であれば、十二と言えば嫁入り教育などもあり、もっとしっかりしている女子も多いだろうが…湖様は特殊だ。この数ヶ月で赤子から成長されているからして、中身が伴わない事が多い…しかも、記憶に残るのもここ数ヶ月の出来事だけだ。其方は、口で湖様を泣かせたわけだから…余程印象深いのであろうな」
「…俺のせいですか?」
「何を今更。其方のせい以外あるまい」

出て行った先から、誰かの声が聞こえる

「湖様、走ってはいけませんっ。転ばれま・・うわぁぁっ、湖様っ…」

家臣の焦った声に兼続が腰を上げる

「本日はこれまでとする。某は、湖様の元に向かうからな」
「…はい。ありがとうございました」

深々と頭を下げた喜之介
バタバタと兼続が走って行く音を聞きながら頭を上げれば…

「俺、馬鹿だろ……あいつ、あの時(六歳)だって…」

泣きそうな顔が可愛かった
勢いで「ぶす」なんて言ってしまったが、実際そんな事はちっとも思っていなかったのだ
ただ文句を言いたかっただけ
だから出た悪態だったのだ

「何処が「ぶす」だよ…」

室内に小さなため息が落ちた
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