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【イケメン戦国】私と猫と

第28章 桜の咲く頃  四幕(十二歳)


「え…??だって、兼続。私のわがままを聞いてくれるのはご褒美の時でしょ?だから、ご褒美欲しいから課題を出して欲しくって…でも、あんまりむずかしいのは止めてね?」

湖の話を聞くと、兼続は「あー…なるほど…」と天を仰ぐように上を向き、その目元を片手で覆った

「兼続?」

(「ご褒美」は勉強の後、結果を出した後の「わがまま」…と、なるほどなるほど。確かにそう捕らえられてもおかしくない指導を致しておりました。良いことでもありますが、同時に成果を出せばご褒美が与えられると…それが、常になるのはいかがなものなのか…)

「よろしくないですな…ふむ…」

兼続は向かい合って座った湖と目を合わせ

「遠出については、謙信様に一緒に相談致しましょう。それとは別に、せっかくお時間があるのでしたら、湖様の興味のあるものを勉強いたしましょうか」
「…それは、ご褒美の先出し?」
「いいえ、ご褒美ではございません。湖様のささやかなご希望くらい何時でも申されて構いません。もちろん、叶えられない場合もあります」

にこりと笑う兼続に湖は不審な顔を浮かべる

「…いつもは、勉強の後でって言うのに?」
「それは、湖様が進んで学ぼうとされていなかったので…もう十二になられた湖様ならば、ご自分で学ぶ事もできましょう?」
「…うん」
「ちなみにですが、湖様が学ばれたいことを教えてくださいませ」
「…ほんとに言っていいの?」
「……危ないことでなければ」

湖の怪しい間に、兼続も間を開けて返答する

「薬学と…女中さんのお仕事」
「は?…なんと…?」
「薬学と、女中さんのお仕事」

兼続の顔がまたもや天を仰ぐ

「薬学は承知致しました。女中の仕事については、もう少々考えさせてください…」
(姫らしく…というのは、本当にできないのですね…大変湖様らしく…やはり湖様なのだと痛感させられますな)

「うん。期待して待ってるっ!じゃあ、まずは遠出だね!謙信様にいつ言っていい?」
「夕餉の時間にでもお伝えしましょう」
「はい!…えへへ。兼続、大好きっ」

そう言って抱きついてくる湖は、九つよりもやはり大きくなっているのだが…
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