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【医療】Leben 〜レーベン〜 <修正中>

第8章 助かる、助からない


考えごとをしながら歩いているといつの間にかステーションの前まで来ていた。


「バカバカしい」


何をそこまで考え込む必要があったのか。
現場とオペ室の違いなんて今に始まったことじゃないし、分かっていた筈。
言い訳もしたい訳でもない。
大変さを分かって欲しいなんて思わない。



ステーションへ入るとそれぞれの机の上に買って来たものを雑に置いた。


「おかえりなさい、神那先生」
「ありがと、神那ちゃん」
「おおきにな」


ココアを入れ、いざ飲もうとコップを傾けると……。
RRR……。
電話が鳴った。
仕方なくコップを置き、受話器を取る。
受話器に1番近いのは私だから。



「亜城西救命センター」
『日吉消防よりドクターヘリ要請です。
患者は鈴木美樹さん、32歳女性。車で道路を走行中誤って転倒。
そのまま車に挟まれている模様です』
「どこを挟まれてるの?」
『胸です』
「救出まであとどのぐらい?出血は?」
『もうまもなく救出出来ます。
出血はそこまで出ていません』



そこまで?
何を言っているの?
曖昧な回答に眉間に皺が寄るのが分かる。



「正確に教えて。出血量はどのぐらい?ただの圧迫?」



この業界ではおおよその数値が命取りになる。
情報はより正確に把握しなければならない。
特に時間経過と出血量は、判断を誤れば重大なミスに繋がる。
そんなことも分からないのか。
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