第20章 変わらない想い
面会時間終了の少し前に徹が戻ってきた。
「直人…なんだって?」
「また会おうって。」
徹は私のスマホを机の上に置くと、鞄を持った。
「今日はもう面会時間終わるから、帰るわ。また明日来る。」
「うん…ねぇ徹。」
「ん?」
「直人に…私が白血病だって話したんだよね?」
「うん。」
直人の心配そうな顔が目に浮かんだ。
きっと、凄く驚いたに違いない。
「直人ってさ、優しいじゃん?だから…あまり心配かけたくないんだよね。」
そう言うと、徹は私の頭に手を置いた。
「そう思うなら、元気になったら会いに行けばいいじゃん。今は余計な心配するな。」
「…うん、そうだよね。ありがとう。」
徹は病室から出ようとしたが、立ち止まって振り返った。
「どうしたの?」
「誕生日プレゼント。考えといて。」
「覚えててくれたの?」
「当たり前だろ。」
そこで、看護師さんが病室に来た。
「明智さん、面会時間終わりますよー。」
「じゃあシュリ、また明日な。」
徹はそう言って微笑んだ。
「うん、また明日ね。」
徹が病室から出て行くと、看護師さんが私の顔を覗いた。
「明智さん、少し顔色悪いわね。」
「そうですか?でも特に体調は悪くないです。」
「わかりました。何かあったらすぐにナースコールで呼んでね。」
そう言って看護師さんも病室から出て行った。