第27章 透明な影
――終焉の鐘の音が聴こえた気がした。
「「お願いやめて、あたしのために争わないで!」「煩ェ少し黙ってろ!!」」
すっかり暮れた夜にバイクに跨る慎也に、雑賀は笑う。
「槙島聖護を殺そうとするお前の計画に俺は意図的に加担した。その自覚がある以上、次に抜き打ち検診を喰らったらそれが年貢の納め時だな。」
「――本当にご迷惑をお掛けしました。」
「気にするな。社会に参加せずに引き篭っていた罰が当たっただけさ。」
「先生――。」
「お前に手を貸した事で俺は俺の役目を果たせたと思ってる。だが――、それでも結局汚れ仕事は――。狡噛。お前一人に押し付けてしまう事になるんだな。」
「それこそ気にしないで下さい。何故だか俺以外の誰かがアイツを殺すってのが想像も付かないんですよ。」
どこか哀しそうに言えば、慎也は後ろの泉にヘルメットを付けてやる。
「――次は嫁さんと子供でも連れて来い。」
その言葉に、二人は笑ってその場を後にした。
その頃。公安局では朱が一人慎也の行方を追っていた。
「狡噛さんも日向さんも――、一体どこに?」
背伸びをした瞬間、入り口にドミネーターが運ばれて来る。
朱は迷いながらそれを手に取った。
『常守朱監視官。今から貴方に全ての真実を告げましょう。』