第22章 『再・理解』
「じゃぁ、また。」
「うん。またね!」
くるりと俺たちに背中を向けたビーネは、いつものドライなビーネのように一切後ろ髪を引かれている様子は見せなかった。
「ビーネ!無茶すんなよ!」
俺の声に、奴は片手を上げて答えただけだった。
「ビーネもここに来てたんだね。」
「とんだ偶然だよ。ったく、厭味な奴にこんなところで会うとは……。」
「一人で大丈夫かなぁ。少将もあっち側に付いたって聞いたし。」
「大丈夫だろあいつは、あいつの義って言うもんがあるから。」
『義?』とアルが首をかしげるが、話すつもりはない。
受け取った紙をポケットにねじ込み、ベッドに腰を降ろす。
そう言えばいつだったか、俺のパンツにメモを張りつけて行ってくれていた。
今回ももしかしたら、渡された錬成陣の紙に何か書いてあるかもしれない。
ごそごそと紙を取り出し、丹念に裏を調べていく。
「アル。お前もさっき貰った紙、調べてみてくれ。」
「あ、うん?」
俺のはすべて白紙だった。
「何も書いてないよ?」
「ふぅん。」
「どうかした?」
「いや。別に。」
いつも用意周到じゃないか。
あの時の現象について何かヒントがあるのではないかとか、中央はどんな様子なのかとか、ホムンクルス側の弱みとかその他もろもろ。
そう簡単には情報は手に入りやしなかった。