第17章 『再構築』 4
「ただいまー。母さん、エリシアー。」
家の中に入れば、母さんが驚いた顔で一人リビングでくつろいでいた。
「お帰りなさい。どうしたの?突然。」
「ちょうど中央に戻ってきたんだ。着替えの交換と、顔見に。」
「エリシア、お友達のお家に行ったのよ。着替えね、ちょっと待ってて。」
いつもと変わらない母さんの笑顔。
辛そうなところは見せない。
すぐに着替えを持ってきてもらい、トランクに詰め直す。
そして、家を出るまで父さんの話はしなかったし、される事もなかった。
「ばたばたしてごめんね。じゃぁ、次はゆっくりできるように帰ってくるよ。」
「えぇ。ビーネも無理しないで。いってらっしゃい。」
「うん。いってきます。」
手を振って車に乗り込み、すぐに発進する。
母さんは車が見えなくなるまで、見送ってくれた。
表情は見えなかったけど、きっと寂しそうな顔をしていたに違いない。
早く、笑顔を取り戻してあげたい。
「ヴィンズ。すこし、軍まで急げますか?」
「あぁ。」
軍に戻った僕は、自分のデスクを見て、数日ここに缶詰め必須だろうと察した。
他の人に泣きつこうも、みんなのデスクがそうなっているのだから我儘は言えない。
「いやぁー!ビーネ!いいところにやって来たねぇ!」
入り口でぼうぜんと立ち尽くす僕の肩に腕を回すのは、非常にハイテンションなエクリア。
「あ!副司令!差し入れないんですか?差し入れ!」
キラキラと輝く瞳でこちらを見つめるのはアリス。
いつも冷静な仲間達が、妙にハイテンションになっているのはやるべき仕事の多さからだろう。
「おはようございます。副司令。」
「あ、おはようございます。ヴィエラ。」
いつもと変わらないのはヴィエラのテンションだけ。
「副司令、入口に立ってないで、ご自分の席にお座りください。」
「あ……ハイ。」
毒舌になってた…。
さぁて。
何日で終わるかなぁー…。