My important place【D.Gray-man】
第26章 鳴かないうさぎⅡ
「あれー…? ここ何処だろう…ラビさん達にあんな偉そうなこと言ったのに…これじゃあ怒られ」
「チャオジー!!」
「え?」
見知った姿を見つけて声を張り上げる。
廊下の真ん中でウロウロしていたそいつは、オレ達を見るとぱっと笑みを浮かべた。
「ラビさん! 雪さんも! 良かっ──」
その歓喜の言葉を全て聞き終える前に、横を走り様にチャオジーの腕を掴む。
「逃げるさ!」
「うわっ!?」
そのまま勢いで目の前の階段を駆け下りた。
「は!? 急になんスか!? 逃げるって…!」
「よ、よかったチャオジー! 今度は本物っ!?」
「本物っ?」
オレに引き摺られながら、後ろを走るチャオジーと雪の声が耳に届く。
意味がわからず困惑するチャオジーの気持ちもわかるけど、今は説明してる暇なんてない。
とにかくこの廃墟を出ねぇと一刻も早く!
「ラビさんも雪さんもなんか顔色悪いっスよっ!?」
「ああうん色々あったから…っ」
「色々って…あ! イノセンス見つけないと此処から出られないんじゃ」
「出口さ!」
「へっ?」
素っ頓狂な声を上げるチャオジーと軽い雪の体を引っ張ったまま、ようやく見つけた廃墟の出口を抜け出す。
やっと出られた外にほっとしつつも、気持ちは全く落ち着かなかった。